「天使にラブソングを…(Sister Act)」という映画がある。
ウーピー・ゴールドバーグ演じるクラブ歌手のデロリスは、ギャングに追われ修道院にかくまわれるのだが、そこの聖歌隊が歌う賛美があまりにもグダグダすぎるのでデロリスが好き勝手にアレンジし始めてしまい…。
ドタバタ劇が笑えるコメディだが、そのアレンジした讃美歌がいわゆるブラック・ゴスペルのグルーヴ感(=雰囲気、ノリとか)であったことから、日本のゴスペルブームの火付け役にもなったりしている。
映画の中では、最初はやる気のなかったシスターたちが、デロリスのアレンジが入ったことで、やがて「ノリノリ」で賛美を歌うようになる様子が描かれる。喜びをもって賛美する姿は「ラブソングを」にふさわしい。
この邦題を付けた人は本当に「上手いなぁ」と思ってしまう。だって賛美って本当に「ラブソング」なのだもの。
福岡聖書教会の礼拝のプログラムには「キッズ賛美」が組み込まれていて、教会福音讃美歌に加えてワーシップソングが歌われている。
その時間になると、グロー(教会学校)を終えて隣の部屋で遊んでいる子供たちがにょきにょきと現れて、元気よく歌い出すことも。それはとても微笑ましいとともに、一生懸命に賛美する姿に励まされるというか、こちらが元気をもらうような場面であったりもする。
ところで、「音楽」そのものの歴史自体を振り返ってみると、「神を讃え、感謝を示す」という行為を抜きに語ることができない。聖書には人々が楽器を使って賛美を捧げるシーンも出てくるし、西洋音楽のいわゆる「ドレミファソラシド」という音階の起源はグレゴリオ聖歌にあり、賛美のために生み出されたものだったからだ。
近代に入ってからもそうだ。ソウルやファンク、ラップなど、アフリカ系アメリカ人が中心的な担い手となる、「ブラックミュージック」といわれるジャンルは、現代の音楽シーンに欠かすことはできない。ブラックミュージックはエルビス・プレスリーをはじめとする白人のロックンロールや日本のポップスにも大きく影響を与えているが、そのグルーヴ感の源流はゴスペルにあるとされる。
そのゴスペルは、奴隷として売られアメリカで苦しい暮らしを強いられてきた黒人たちが、農場主に教えられた聖書に唯一の希望を見出して生み出された「黒人霊歌」が起源である。そう考えると、音楽は、そしてそれを生み出す口は、手は、全て神を賛美するためにあったのだと感じずにはいられない。
キリストのことばが、あなたがたのうちに豊かに住むようにしなさい。知恵を尽くして互いに教え、忠告し合い、詩と賛美と霊の歌により、感謝をもって神に向かって歌いなさい(コロサイ人への手紙3章16節)。
あふれ出る感謝の気持ちを、メロディに乗せて歌う「ラブソング」。
皆で賛美するって楽しいね。
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